共同通信ニュース
2012年05月23日
日銀、追加緩和を見送り ゼロ金利政策は維持 景気判断は据え置き
ロイターニュース
日銀、追加緩和を見送り ゼロ金利政策は維持 景気判断は据え置き
日銀は23日開いた金融政策決定会合で、政策金利を0〜0・1%とするゼロ金利政策を全会一致で維持した。資産買い入れ基金の増額などの追加金融緩和の実施は見送った。
景気の現状については「なお横ばい圏内にあるが、持ち直しに向かう動きが明確になりつつある」と分析、前回会合の判断を据え置いた。
ギリシャがユーロ圏から離脱する可能性が浮上し、欧州債務問題が再燃。投資家が株などのリスク資産への投資を控え、比較的安全とされる円に資金が流入し、円高、株安が進んでいる。
日本経済への悪影響も懸念されるが、日銀は東日本大震災からの復興需要で堅調な内需を背景に、国内景気の持ち直しの動きは底堅いと判断したようだ。
日銀は2月に消費者物価の前年比上昇率1%を目指す事実上の「インフレ目標」を導入。実現に向けて積極的に金融緩和を推進する方針を示している。
ただ前回会合で、国債などの資産を買い入れるための基金を5兆円増額する追加緩和を実施したばかりのため、当面はさらなる追加緩和を行わず、これまで決めた国債などの買い入れを着実に進めるべきと判断したとみられる。
2012年05月16日
独仏首脳会談 危機が結束促す 争点は先送り
ロイターニュース
解説 独仏首脳会談 危機が結束促す 争点は先送り
【パリ共同】フランスのオランド新大統領の就任直後にベルリンで行われた15日の独仏首脳会談では、ギリシャの連立政権樹立失敗で同国のユーロ離脱の懸念が高まる危機的状況が、初顔合わせのドイツのメルケル首相との結束を促す方向に働いた。
フランス大統領選でメルケル首相は、「メルコジ」関係と呼ばれた盟友サルコジ前大統領を支持。欧州連合(EU)各国が債務危機対策として合意した財政規律強化策「新財政協定」をめぐっても、オランド大統領が成長と雇用戦略に欠けるとして求めた「再交渉」をメルケル首相が拒否するなど、関係冷却化を懸念する声が高まっていた。
だが、会談直前にギリシャの連立協議が決裂し再選挙実施が決まり、双方は「EU統合の両輪」とされる本来の役割に立ち戻った。会談ではギリシャのユーロ残留が最重要との考えで一致。メルケル首相は「独仏両国は欧州に対する責任を意識している」と共同歩調を強調した。
ただ、成長戦略などをめぐる立場の相違が埋まったわけではない。オランド大統領は「(ドイツが反対する)ユーロ共通債を含め、全ての論点が(今月23日の)EU緊急首脳会議で話し合われる」と争点の実質先送りを表明。ギリシャのユーロ離脱が現実味を帯びる中、独仏の新コンビによる債務危機対策の再構築は始まったばかりだ。
2012年05月08日
世界の信用不安、再燃も ギリシャ、資金繰りに懸念
世界の信用不安、再燃も ギリシャ、資金繰りに懸念
【ロンドン共同】ギリシャ議会の再選挙が実施される見通しが7日、強まったことで、同国が資金繰りに行き詰まる恐れが再び浮上してきた。再選挙でも安定した政権が樹立できなかった場合、1300億ユーロ(約13兆6千億円)に上る第2次支援の頓挫は避けられず、世界的な信用不安の再燃につながりかねない。
2次支援の条件の一つとして、ギリシャは欧州連合(EU)などに対し、6月中に115億ユーロ分の歳出削減策を示さなければならない。だが、政治空白がほぼ確実となったことで、削減策の決定は極めて困難な情勢だ。
ギリシャは追加支援がなければ公務員給与や年金の支払いも困難とされる。EUや国際通貨基金(IMF)は、これまで支援条件の見直しに応じる姿勢は見せておらず、資金繰りが破綻すれば内政の一層の混乱は避けられない。
再選挙は6月にも行われる見通し。今月6日の選挙では投票日が近づくにつれて、連立を組んできた新民主主義党と全ギリシャ社会主義運動の二大政党と対照的に、財政緊縮策に反対する急進左派や極右政党が軒並み支持率を伸ばした。再選挙ではさらに得票を増やし、政治の混迷が深まる恐れもある。
2012年04月23日
サルコジ氏が2位 首位オランド氏と決選へ 現職、経済で苦境 仏大統領選第1回投票
サルコジ氏が2位 首位オランド氏と決選へ 現職、経済で苦境 仏大統領選第1回投票
【パリ共同】欧州債務危機への対応が最大の焦点になったフランス大統領選第1回投票が22日行われ、内務省の集計によると、社会党候補のオランド前第1書記(57)が、再選を目指すサルコジ大統領(57)を得票率で上回り首位となった。ともに過半数には至らず、両候補は5月6日の決選投票に挑む。
1958年に発足した第5共和制下の直接選挙で再選を目指す現職大統領が第1回投票で、首位を逃した例はなかった。欧州危機に伴う経済不振を背景にサルコジ氏は苦境に追い込まれた。22日夜実施の世論調査結果によると、決選でもオランド氏が6〜12ポイントリードしている。
決選でオランド氏がサルコジ氏を退けた場合、現職大統領の再選失敗はジスカールデスタン氏がミッテラン氏に敗退した81年以来、31年ぶり。社会党政権は17年ぶり。
大統領選には10人が立候補。内務省が発表した開票率ほぼ100%の暫定得票率は、オランド氏が28・63%、サルコジ氏が27・08%。
3位には極右、国民戦線(FN)のルペン党首(43)が18・01%で入った。ルペン氏の得票率はFNとして過去最高。4位は左派戦線のメランション氏(60)、5位は中道、民主運動のバイル議長(60)。
オランド氏は22日夜、支持者の前で演説し「(投票結果は)5年間のサルコジ政治に対する罰だ」と述べた。サルコジ氏は「(決選に)全てのエネルギーを注ぐ」とあらためて闘志を示した。
サルコジ氏は債務危機で、欧州連合(EU)各国の財政規律強化を定めた「新財政協定」合意を主導、フランスでも緊縮策を掲げたが、国民の厳しい審判にあった。オランド氏は成長と雇用政策重視を掲げ、同協定の再交渉を公約しており、オランド氏当選の場合は協定の早期発効が不透明になる可能性がある。
内務省によると、投票率は80%を超える見通し。
2012年04月07日
スペイン国債利回り上昇 財政圧迫、世界経済に不安
ロイターニュース
スペイン国債利回り上昇 財政圧迫、世界経済に不安
【ロンドン共同】財政難に陥っているユーロ圏4位の大国スペインの国債利回り上昇(価格下落)が続いている。復活祭の連休に入る直前の5日、10年債で約5・8%(終値)へ上昇し、昨年12月中旬以来の高水準を付けた。上昇が続けば、利払い負担の増加がスペイン財政を一層圧迫し、財政悪化と金利上昇の悪循環に陥りかねない。世界経済の不安要因となってきた。
利回り上昇は、同国財政の先行きを疑問視する見方が強まったため。債務危機の本格的な波及が一時取りざたされたイタリアの10年債利回り(約5・4%、5日終値)を上回り、同国よりも信用度が劣る結果となった。
昨年12月21日に欧州中央銀行が約5千億ユーロ(約53兆円)もの資金をユーロ圏の銀行に供給して以来、銀行側がスペイン国債を買う余力が生じ、利回りは低下傾向にあった。流れが変わったのは3月2日、欧州連合(EU)首脳会議終了後に同国のラホイ首相が突然、2012年の財政赤字の削減目標を緩めると宣言したことがきっかけ。
高失業率などの悪材料にも市場の関心が集中し、利回りは上昇。モンティ首相の下での労働市場をはじめとした経済の構造改革が評価されているイタリアの国債利回りよりも高い水準にある。
スペイン国債の利回り上昇について、ドラギ欧州中銀総裁は4月4日の記者会見で「市場が政府に改革の実行を求めていることの表れだ」と説明。欧州債務危機の震源地ギリシャやアイルランド、ポルトガルに続き、スペインも金融支援を要請する事態に追い込まれるとの不安が広がりつつある。
2011年10月21日
株式週間展望
ロイターニュース
株式週間展望
来週の東京株式市場は、欧州の債務問題の動向をにらみながら、日経平均株価(225種)が8700円近辺で、もみ合いそうだ。欧州連合(EU)首脳会議で債務問題の解決に向けた包括的な対策がまとまれば値上がりが期待できるが、各国の対立が解消しなければ8500円を割り込む恐れもある。
今週の平均株価は欧州債務問題への不安が後退して約1カ月半ぶりの高水準を回復して始まった。18日は、23日のEU首脳会議への期待を抑制するドイツ当局者の発言で反落。19日は反発したが、20日はこの問題の進展待ちで8700円を割った。21日も続落し、8678円で取引を終えた。
来週は、23日の協議を踏まえたEU首脳会議が、あらためて開かれる見通し。財政危機に陥ったユーロ圏諸国を支える欧州金融安定化基金(EFSF)の再強化をめぐり、意見が隔たっているフランスとドイツが歩み寄るかが焦点。米国の7〜9月期の実質国内総生産(GDP)速報値や、発表が本格化する国内企業の中間決算も注目される。
2011年10月05日
アパレル関連会社「U.F.O.」
ロイターニュース
取引額「万」から「億」に 口座明細書を細工
大阪地検特捜部に民事再生法違反容疑で社長の谷絹子容疑者(61)が逮捕されたアパレル関連会社「U.F.O.」(東京都中央区)が、預金口座の利用明細書に印字された取引先からの振込額が万や十万の単位だったのに、3、4桁の数字を加え、億単位に細工していたことが5日、同社関係者への取材で分かった。
特捜部は、取引の規模が大きく、業績が好調なように装ったとみて財務実態の解明を進める。
関係者によると、U社は2008年10月ごろ、大手銀行への返済が滞ったため、返済を猶予してもらう交渉の際、別の地方銀行に開設した口座の利用明細書を提出した。
明細書では、08年1月31日に商社から「300063295(3億6万3295円)」と「200343650(2億34万3650円)」の振り込みがあり、同日に別の取引先に「500016581(5億1万6581円)」を送金したことになっていた。
しかし、大手銀行が調査したところ、実際の取引額の前に「3000」「200」「5000」の数字をそれぞれ貼り付け、コピーしていたことが分かった。
関係者は「偽造部分は数字がゆがんでいるなど幼稚なやり方だった。相当資金繰りに窮していたんだろう」としている。
2011年06月14日
「大型Q&A」 ホットスポット
ロイターニュース
「大型Q&A」 ホットスポット
◇放射線出す元素が集中
◇首都圏でも広がる不安
福島第1原発事故で指定された避難区域の外側で、「ホットスポット」と呼ばれる放射線量が局地的に高い地点を正確に把握しようとの動きが各地で広がっています。
Q そもそもホットスポットとは何ですか。
A 原発から流出した放射性セシウムなどが気象や地形の影響を受け、まだら状に拡散し、周辺と比べて放射線量が高くなった地点を指します。元原子力委員会専門委員の武田邦彦中部大教授によると、放射線を出す元素を「ホットアトム」と呼び、そのホットアトムが多く集まる場所という意味です。
Q 線量の基準はあるのですか。
A ありませんが、今回の事故では主に、政府が避難対象とする年間線量の20ミリシーベルトを上回りそうな地点や、一般人が受ける年間放射線量限度の1ミリシーベルトを超えそうな場所などがホットスポットとされています。
Q どこで見つかっているのですか。
A 福島県では、全域が計画的避難区域となった飯舘村に隣接する伊達市と南相馬市で20ミリシーベルトを超えそうな地点が計4カ所見つかりました。各自治体は住民の自主避難などの対策を講じているほか、住民の意向を踏まえて、新たな避難区域設定などの措置を取るよう政府に要請中です。
Q 政府や県はどういう対応をしているのですか。
A これまでの測定地点が少ないとの指摘もあり、政府や県がモニタリングポストを大幅に増やすなど実態把握に乗り出しています。
Q 首都圏でも不安が広がっています。
A 茨城県、千葉県、東京都などで比較的線量が高い地点が見つかり、個人が独自で線量を調べる動きが活発化しています。それを受け、各自治体がきめ細かい測定結果を公表する事態となっています。
Q 今後どういった対策が必要ですか。
A 武田教授は、線量が高い場所を政府や県が細かく調べ、ホットスポット地図を作るべきだと訴えています。庭の表土除去や除染でも状況は改善するとも指摘しているほか、小さなホットスポットには、子どもが近づかないよう柵を設けるなどして注意を促すことも重要だとしています。
Q 1986年のチェルノブイリ原発事故ではどうだったのですか。
A 原発から30キロ圏内が立ち入り制限区域となり、約13万5千人が立ち退きを強いられました。しかし、原発から数百キロ離れた場所でも高い線量が記録されるなどホットスポットが相次いで見つかり、数十万人が移住したとされます。
2011年06月02日
内閣不信任案、午後採決 小沢、鳩山氏造反へ
ロイターニュース
内閣不信任案、午後採決 小沢、鳩山氏造反へ
自民、公明、たちあがれ日本の野党3党が共同提出した内閣不信任決議案は、2日午後の衆院本会議で採決される。菅直人首相は本会議前の民主党代議士会に出席し、党が結束して否決できるよう訴える意向だ。小沢一郎元代表、鳩山由紀夫前首相は賛成票を投じる方針を明言しており、執行部は造反の拡大阻止に向けて採決直前まで小沢系議員らの切り崩しを進める。ただ欠席を含めて数十人規模の大量造反は避けられない見通しで、否決の場合でも首相の政権基盤が弱体化するのは必至だ。
首相は代議士会で、東日本大震災の復旧・復興や福島第1原発事故の収束への取り組みが急務だと指摘しながら、不信任案への同調は「国民の理解を得られない」と力説する。6月22日までの今国会の会期について「通年国会」化を含めた大幅延長を検討する方針も説明。本格復興に向けた2011年度第2次補正予算の今国会成立を求める中間派議員らをつなぎとめたい考えだ。
執行部は造反者を除籍(除名)処分にする方針や、可決の際に首相が内閣総辞職でなく衆院解散に踏み切る可能性をちらつかせて、造反の構えを見せる小沢系の中堅、若手議員らを翻意させる方針とみられる。
不信任案には、みんなの党も賛成する。当初賛成方針だった共産党は「自民、公明両党は党略的で無責任」と批判して棄権に方針転換した。社民党は棄権の方向で最終調整している。社民党が棄権した場合、不信任案は与党と与党系無所属から82人が賛成に回れば可決される計算だ。
2011年03月31日
年度末株価9755円 株安円高で業績悪化
ロイターニュース
年度末株価9755円 株安円高で業績悪化
2010年度末を迎えた31日の東京株式市場の日経平均株価(225種)は前日比46円31銭高の9755円10銭で取引を終え、前年度末に比べ12%、1334円下落した。円相場も1ドル=82円台と10円超の円高で、株安・円高による保有株の評価損益や採算の悪化が企業の3月期決算に悪影響を与えるのは必至だ。
株価は、年度末にかけて東日本大震災や福島第1原発事故による先行き不安から大きく下げた。安定的な投資先として幅広い投資家が保有する東京電力株が急落するなど影響は年金基金や個人投資家にも及びそうだ。
31日の全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)終値は前日比3・29ポイント高の869・38。出来高は約26億7300万株だった。
10年度の平均株価は1万1000円台からスタート。新興国向けの輸出が景気をけん引するとの期待で、年度初めの4月5日には1万1339円まで上昇したが、円高や中東・北アフリカ情勢など世界経済の先行き不安が重しとなり、一進一退となった。
93円台で始まった円相場は円高基調が続き、昨年9月には政府が6年半ぶりの円売りの為替介入を実施した。大震災後の今年3月17日には海外市場で1ドル=76円25銭と戦後最高値を更新。先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が協調介入に踏み切った。
2011年03月30日
核燃料が炉外に漏出か 英紙で専門家指摘
ロイターニュース
核燃料が炉外に漏出か 英紙で専門家指摘
29日の英紙ガーディアン(電子版)は、福島第1原発2号機で、核燃料の一部が溶融して原子炉格納容器の底から漏れ出しているとみられると、複数の専門家が指摘しているとし、現地での大量の放射線放出の恐れが高まっていると報じた。
2号機では建屋内で高い放射線量のたまり水が見つかった。原子力安全委員会は原子炉圧力容器が破損した可能性があり、溶融した燃料と接触した外側の格納容器内の水が直接流出したとの見方で、燃料自体の漏出までは言及していない。
同紙によると、福島原発の原子炉を開発した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社で福島原発建設時に同型炉の安全性の研究責任者を務めた専門家は、少なくとも溶融した燃料が圧力容器から「溶岩のように」漏れ、格納容器の底にたまっているようだと説明。
その上で同紙は格納容器も爆発で破損し、核燃料が容器外に出ている可能性を示唆した。(共同)
7割が景気「後退」 主要企業101社緊急調査
ロイターニュース
7割が景気「後退」 主要企業101社緊急調査
共同通信社が30日にまとめた主要企業101社を対象にした緊急アンケートで、景気の先行きについて回答した69社のうち「緩やかに後退する」「後退する」との回答が計47社(68%)と約7割を占め、東日本大震災の影響で景気が悪化するとの悲観的な見方が広がっていることが鮮明になった。
福島第1原発事故や電力不足を含む大震災の影響が国内景気や企業業績にマイナスに作用する期間は「1年程度」が13社と最も多く、経済の停滞が長期化するとの懸念が強まっている。
景気の先行きは「拡大する」との回答がなく、「緩やかに拡大」6社、「横ばい」も16社にとどまった。「緩やかに後退」は22社、「後退」は25社だった。
「震災や電力不足の影響が見通せない」(電機)として、回答を保留するなどした企業も32社に上り、被災した生産拠点などの復旧を急ぐ中、大震災や原発事故の影響度合いを測りかねる姿も目立った。
前回調査(2010年末、110社)の景気見通しは「横ばい」が75社、「緩やかに拡大」が27社で、「緩やかに後退」「後退」は計7社に過ぎなかったが、大震災を境に企業の景況感は一変した。
また、景気や業績への影響が半年以内で収まるとみる企業が15社だったのに対し、1年以上を見込む企業は22社。このうち被害が大きかった製造業や運輸などでは5社が「3年以上」と答えた。
震災の事業への影響は「顧客や契約先の被災」が34社と最も多かった。自動車や電機などの製造業では「材料や部品の不足」(26社)を選ぶ企業が目立った。工場や取引先部品メーカーの被災だけでなく、計画停電の影響で材料や部品の供給が滞る現状に強い危機感が示された形だ。
原発事故の対応に追われる東京電力は「事態の悪化防止と、一日も早い電力の安定供給に向け、全力を尽くしたい」として、多くの質問で回答を保留した。
アンケートは大震災の発生から約2週間後の3月下旬に実施した。
2011年03月28日
炉心溶融を震災当日予測 初動ミスで深刻化か
ロイターニュース
炉心溶融を震災当日予測 初動ミスで深刻化か
経済産業省原子力安全・保安院が、震災当日の11日夜、東京電力福島第1原発事故に関して、3時間以内の「炉心溶融」を予測していたことが27日、分かった。また翌12日未明には放射性ヨウ素や高いレベルの放射線を検出、原子炉の圧力を低下させる応急措置をとる方針が決まったが、実現するまでに半日も要した。政府文書や複数の政府当局者の話で判明した。
溶融の前段である「炉心損傷」を示すヨウ素検出で、政府内専門家の間では危機感が高まり、応急措置の即時実施が迫られる局面だった。
しかし菅直人首相は12日早朝、原子力安全委員会の班目春樹委員長と予定通り現地を視察。政府与党内からは、溶融の兆候が表れた非常時の視察敢行で、応急措置の実施を含めた政策決定に遅れが生じたとの見方も出ている。初動判断のミスで事態深刻化を招いた可能性があり、首相と班目氏の責任が問われそうだ。
政府原子力災害対策本部の文書によると、保安院は11日午後10時に「福島第1(原発)2号機の今後のプラント状況の評価結果」を策定。炉内への注水機能停止で50分後に「炉心露出」が起き、12日午前0時50分には炉心溶融である「燃料溶融」に至るとの予測を示し、午前3時20分には放射性物質を含んだ蒸気を排出する応急措置「ベント」を行うとしている。
保安院当局者は「最悪の事態を予測したもの」としている。評価結果は11日午後10時半、首相に説明されていた。
この後、2号機の原子炉圧力容器内の水位が安定したが、12日午前1時前には1号機の原子炉格納容器内の圧力が異常上昇。4時ごろには1号機の中央制御室で150マイクロシーベルトのガンマ線、5時ごろには原発正門付近でヨウ素も検出された。
事態悪化を受け、東電幹部と班目氏らが協議し、1、2号機の炉内圧力を下げるため、ベントの必要性を確認、4時には保安院に実施を相談した。また菅首相は5時44分、原発の半径10キロ圏内からの退避を指示した。
だが東電がベント実施を政府に通報したのは、首相の視察終了後の8時半で、作業着手は9時4分。排出には二つの弁を開く必要があるが、備え付けの空気圧縮ボンベの不調で一つが開かなかった上、代替用の空気圧縮機の調達に約4時間を費やし、排出が行われたのは午後2時半だった。
与党関係者は「首相の視察でベント実施の手続きが遅れた」と言明。政府当局者は「ベントで現場の首相を被ばくさせられない」との判断が働き、現場作業にも影響が出たとの見方を示した。
政府に近い専門家は「時間的ロスが大きい」とし、ベントの遅れが海水注入の遅延も招いたと解説。1号機では排出開始から約1時間後、水素爆発で同機建屋の外壁が吹き飛んだ。
2号機では10万倍 東電、数値の発表訂正
ロイターニュース
2号機では10万倍 東電、数値の発表訂正
東日本大震災による福島第1原発事故で、東京電力は28日未明、2号機のタービン建屋地下にたまった水の放射性物質の濃度が、通常の原子炉の水の約10万倍の、1立方センチ当たり1900万ベクレルだったと発表した。通常は1立方センチ当たり数百ベクレル程度という。
東電は「原子炉の由来である可能性は高い。燃料の数%から数十%は損傷したかもしれない」として、漏れた経路を調べている。
作業員3人が24日に被ばくした3号機のたまり水は同約1万倍で、その約10倍の高濃度だった。
また2号機のたまり水表面では、毎時千ミリシーベルト以上の放射線量を測定したと発表。24日の3号機での測定値(同400ミリシーベルト)より倍以上高い。
線量が高すぎるため測定を途中でやめており、さらに高い可能性があるという。毎時千ミリシーベルトは、その場所に30分いただけでリンパ球が減少、4時間いれば半数の人が30日以内に死亡するという極めて高い線量だ。
放射線レベルが高いため水の排出は進んでおらず、原子炉や使用済み燃料プールの冷却機能回復に向けた作業に影響する恐れがある。
東電が27日午前、たまった水の放射性物質の濃度を「通常の原子炉の水の約1千万倍」と発表したのに対し、原子力安全委員会が「高すぎて疑義がある」などと再評価を求めた。東電は同日夜、分析をやり直した結果、「(別の放射性物質である)セシウム134と間違えていた」として発表を訂正した。経済産業省原子力安全・保安院は「重要な放射性物質濃度の測定にかかる評価の誤り」だとして再発防止を口頭で指示、東電の分析能力の信頼性が大きく揺らいだ。
原発の放水口付近で26日に採取した海水からは、法令で定める濃度限度の約1850倍の放射性ヨウ素が検出された。25日の同約1250倍から濃度は上昇しており、放出が続いている可能性がある。
4号機のたまり水からも放射性物質が検出されたが、1〜3号機に比べ濃度は低い。
枝野幸男官房長官は原発敷地内の土壌に毒性の極めて強いプルトニウムが拡散していないか、調査に着手したことを明らかにした。
東電は、1号機で地下に設置したポンプで水をくみ上げ復水器に回収する作業を進めた。2、3、4号機は回収方法を検討している。
1〜3号機の原子炉への真水の注入は、現在の消防ポンプから外部電源による電動ポンプに切り替える作業を実施。2号機では切り替えを完了した。消防ポンプは現場で燃料の補充が必要だったが、切り替え後は作業の手間や被ばくを減らせる。中央制御室の照明がついていない4号機の点灯に向けた作業も進めた。
2011年03月19日
冷却機能、回復なるか 2号機に外部電源接続へ
ロイターニュース
冷却機能、回復なるか 2号機に外部電源接続へ
福島第1原発の事故で東京電力は19日、冷却機能を取り戻すのに必要な電源を確保するため、外部からの送電線を同原発に引き込む作業を続けた。順調に行けば2号機は同日中に接続の見込み。
電力の復旧後、中央制御室の照明をつけたり、ポンプを動かしたりして基本的な機能を確認。使用済み核燃料プールに水を送るためのポンプを機能させるほか、水圧で駆動する装置を利用して、燃料が入った炉心に水を入れることを目指す。
まとまった系統で炉心を安定的に冷やせるようにするための第一歩で、危機回避への重要な節目になる。
東京消防庁のハイパーレスキュー隊を中心とする緊急消防援助隊は19日未明、冷却機能を失った3号機の使用済み燃料プールに向けて約60トンを放水した。同庁は、隊員らの被ばく線量は「健康上の影響が出るレベルではなかった」とした。同日午後には、連続7時間の予定で無人での放水を実施した。
東電によると、第1原発の原子炉建屋の基盤部分で観測された地震の揺れの強さを示す加速度は、3号機の507ガルが最大。1、2、5号機はデータがとれず、4、6号機はそれぞれ319、431ガルだった。経済産業省原子力安全・保安院が同原発の耐震安全の基準値として認めたのは600ガル。観測データはいずれも暫定値だが、揺れそのものは想定される最大の揺れよりも小さかった可能性がある。
6号機では19日午前4時半ごろ、3台ある非常用発電機のうち1台が復旧。もともと1台が無事だったため、これで2台態勢になった。電力を共有している5号機とともに、プールの水を循環させて使用済み燃料を冷ましたり、水を補給したりできるようになった。
18日までに5、6号機の燃料プールは水温がセ氏70度近くまで上がり、水位が低下することが懸念されたが、その恐れはほぼなくなった。東電によると、5号機で19日午前5時、プールの冷却が始まり、68・8度だった水温が4時間後に67・6度に下がった。
保安院によると19日朝、同原発西門付近で毎時約830マイクロシーベルトの放射線量を観測。東電は基準を超えたとして国に通報した。線量はその後低下し、基準を下回った。
東電は、一部の作業員の被ばく線量が100ミリシーベルトを超えたことを明らかにした。通常の職業被ばくは年50ミリシーベルト(5年で100ミリシーベルト)、緊急時は年100ミリシーベルトが上限で、厚生労働省は今回の事故対策に限り、特例で被ばく線量限度を250ミリシーベルトまで引き上げている。
2011年03月16日
最大の石油化学施設が停止 三菱化学の鹿島事業所
ロイターニュース
最大の石油化学施設が停止 三菱化学の鹿島事業所
石油化学製品の代表的な原料、エチレンの生産で国内最大の能力(年間83万トン)を持つ三菱化学鹿島事業所(茨城県神栖市)が、東日本大震災で被災し操業停止に追い込まれた。
同事業所が供給するエチレンを含めた石化製品の原料は、旭硝子や信越化学工業、花王など20社以上に利用されている。生産停止が長期化すれば、多くの企業の生産に影響が及ぶのは避けられない見通しだ。
鹿島事業所では、地震や津波で配管が曲がったり製品を搬送する桟橋が壊れたりするなどの被害が発生。余震が続いおり高所での作業もあるため、復旧のめどは立ってない。
貯蔵タンクが炎上したコスモ石油千葉製油所に隣接する丸善石油化学の千葉工場(年間生産能力48万トン)も、施設の一部が燃え操業再開まで時間がかかる見込み。修復が終わっても、千葉製油所から供給を受けていたエチレンの原料であるナフサの確保ができるかどうかが課題となってくる。
2011年03月15日
海水注入を再開 圧力は低下、水位上昇せず
ロイターニュース
海水注入を再開 圧力は低下、水位上昇せず
原子炉の核燃料が水面から完全に露出した福島第1原発2号機で、東京電力は15日午前1時10分、原子炉圧力容器の蒸気逃し弁を開け、海水の注入作業を再開した。午前3時現在、容器内の圧力は下がり、海水は中に入っているとみられるが、水位の上昇は確認できないという。
東電は、さらに別の弁を開けるなどの方法を検討している。
2号機は東日本大震災で11日に自動停止し、14日に原子炉冷却機能が喪失、水位が急速に低下し、午後6時半ごろから約2時間半にわたり、燃料が水面から完全に露出、空だき状態になった。海水を注入し、いったんは水位が上昇したが、その後再び水位が低下、燃料が全露出した。
周辺の放射線量のレベルが上がっており、東電は燃料が溶ける「炉心溶融」が一部で起きたとみている。
核燃料が全露出 2号機、水位が急低下
核燃料が全露出 2号機、水位が急低下
東京電力によると、福島第1原発2号機で14日夜、原子炉の水位が急速に低下し、午後6時半ごろから約2時間半にわたり燃料が水面から完全に露出、核分裂反応は収まっているものの空だき状態になった。周辺の放射線量のレベルが上がっており、東電は燃料が溶ける「炉心溶融」が一部で起きたとみている。
海水を注入し、午後10時には、約4メートルある燃料の半分以上が水に漬かる状態に回復したが、その後再び水位が低下。燃料が全露出した。原子炉圧力容器で蒸気の逃し弁が何らかの理由で閉じてしまい、内部の圧力が高まり、海水を注入できなくなった。東電は閉じた弁を開け、再び水を入れる作業を始めるとしている。
最初の全露出は、作業員が見回りに出ている間に海水を注入するポンプの燃料が切れ、水位回復作業の遅れにつながっており、経済産業省原子力安全・保安院は「一時的に注入が止まったのはまずかった」としている。
東電は原子炉格納容器の圧力を下げるため、蒸気を外部へ放出した。
東電によると、14日午後9時37分、福島第1原発正門前で毎時3130マイクロシーベルトの放射線量を検出した。これまでの最大値の約2倍。
東電は14日午後、2号機は原子炉に残った熱を冷やす機能が喪失したとして、原子力災害対策特別措置法に基づき国に「緊急事態」を通報。正午には水位が燃料から約3・4メートル上にあったが、炉内に水を注ぐ装置が故障したとみられ、水位が急速に低下した。
午後4時34分に、2号機の原子炉への海水の注入作業を始めたが、注入が確認できたのは午後8時ごろ。水位低下は続き、一時燃料すべてが露出した。その後の水位回復は一時的だった。
水を注ぐ装置は、同日午前11時ごろ、隣にある同原発3号機で起きた水素爆発の衝撃で故障した可能性がある。
1、3号機では、冷却機能を失った後に燃料の一部が溶け、発生した水素が爆発し、原子炉建屋の上部が損壊した。保安院は14日夜、1、3号機への海水注入は続けているが、水位計に変化がみられないと明らかにした。
また、「緊急事態宣言」が出ていた福島第2原発1、2号機は安定的な「冷温停止」状態となり、緊急事態を脱したと発表した。
「冷温停止」が難航 綱渡り続く福島原発
ロイターニュース
「冷温停止」が難航 綱渡り続く福島原発
東日本大震災で被害を受けた東京電力の福島第1、第2原発の綱渡りが続く。緊急炉心冷却装置(ECCS)の機能不全や建屋内の水素爆発と、未曽有の事態が発生。廃炉覚悟で「最後の手段」とされる海水を注入している。炉心が安定する「冷温停止」が難航。関係者や地域は固唾(かたず)をのんで見守る。
▽津波を過小評価
大震災の発生時、第1原発では6基中3基(1、2、3号機)が、第2原発では4基すべての計7基が運転中だったが、揺れを感知して自動停止。深刻な事態は、この後、次々と襲った。
外部からの電力供給がなくなった第1原発では、非常用ディーゼル発電機が津波で故障し、ECCSがストップ。第2原発では電力は失われなかったが、冷却水を冷やす海水を取り込む施設で不具合が発生した。これも津波の影響だった。
この結果、第1、第2原発の多くで冷却能力を喪失。ECCSが健全なら、数時間で済む冷却作業が不能となり、消防車を使うなどして冷水の注入に追われた。東京電力は「想定外の規模の津波だった」とするが、専門家からは「津波の過小評価だ。対応が手薄」との批判も出た。
▽炉心溶融に
1、3、2号機の順に冷却能力がなくなった第1原発では、余熱で原子炉の格納容器内の温度や圧力が上昇。東電は冷却用の水を大量に注入したが、蒸発したり、蒸気が配管から一部漏れたりして容器内にたまらず、水位は低下。注入しても思うように冷却効果が得られない状況に陥った。
1、3号機では、通常は水につかっている燃料の一部がむき出しになり溶ける「炉心溶融」が起きた。圧力上昇が続くと格納容器が崩壊、大量の放射性物質の拡散が懸念されたことから、容器内の蒸気を外部に放出する「ベント」を行った。
だが1、3号機では、燃料を覆う被覆管の金属と水蒸気が化学反応し、水素ガスが発生。格納容器の外側と建屋との間にたまり、ついに爆発、建屋の壁が崩壊した。格納容器は当面、保護されているとするが、制御不能ともいうべき事態に不安は広がる。
▽「最後の手段」
第2原発の1、2、4号機も、非常時に炉心を冷やす水源となるプールの水が一時、100度を超え、油断できない状況が続いた。ベントを準備し、圧力が急上昇する場合は蒸気を逃す構えで冷却水を注入した結果、1、2号機は14日午後、ようやく冷温停止した。4号機も冷却のための作業が続いている。
ベントを行った第1原発の1号機と3号機について東電は、炉心を冷やす「最後の手段」ともいえる海水注入を実施した。通常は真水を使う原子炉に海水を入れると、再び使うためには大きなコストがかかる。このため海水注入は廃炉も覚悟した処置といえる。
後はこの作業を続け、冷温停止になるのを待つしかない。2号機では海水注入が難航し燃料が露出、厳しい状況が続いている。
2011年03月14日
死亡・不明5900人 3万人以上安否分からず
ロイターニュース
死亡・不明5900人 3万人以上安否分からず
東日本大震災の死者・行方不明者は14日午後、約5900人となった。避難所に身を寄せた人は約55万人に膨らみ、水や食料の不足も深刻化している。自治体が安否を把握できない住民は3万人以上で、確認を急いでいる。
東京電力は14日午後5時ごろから茨城、千葉、山梨、静岡各県の一部で約1時間半の計画停電を実施。11人死亡の千葉県旭市でも3避難所が停電した。
15日午前0時現在の警察庁のまとめでは、死者1897人、行方不明者3002人。宮城県警によると、牡鹿半島の複数の浜辺で計約千人の遺体が見つかった。これらを合わせると死亡・不明が約5900人となる。岩手県は、警察発表よりも約160人多い795人の遺体を自衛隊が収容したとしている。宮城県によると、南三陸町の捜索でも約千人の遺体が発見されたという。
警察庁などによると、避難は東北太平洋側と茨城、栃木の6県で、宮城県33万人、福島県13万人、茨城県6万人弱など。避難先は約2600カ所。宮城県によると孤立した人たちの救助が進み、避難所に入る人も増加している。受け入れが限界に達し、隣接自治体への移動が検討されている避難所もある。
気象庁は16日に東北で雪や雨が降り、18日まで朝晩の冷え込みも続くと発表。健康管理に注意するよう呼び掛けた。
共同通信の取材や被災地自治体によると、3万人以上の住民と連絡が取れていない。多くの自治体が不明者多数としている。岩手県は、宮古市と陸前高田市で計3千人弱と連絡が取れていないことを明らかにした。
余震も続き、気象庁によると、14日午前10時すぎ、茨城県で震度5弱を観測。午後にも宮城県や福島県、長野県で最大震度4を記録する地震が計4回あった。
総務省消防庁によると、14日午後11時現在、全壊や半壊、一部破損した建物は計7万2945棟となった。
「信じ難い」「あきれる」 原子力の専門家ら絶句
ロイターニュース
「信じ難い」「あきれる」 原子力の専門家ら絶句
東京電力福島第1原発2号機の原子炉が14日夜、水位の低下で一時、空だき状態となった。原因は、職員が目を離したすきに海水を注入するポンプが燃料切れを起こしたという初歩的ミス。国家的危機すら招きかねない異常な事態に、原子力工学の専門家らは「信じ難い」「あきれ返る」と絶句した。
「安全装置の電源がなくなる危険性を散々指摘してきたのに、国も東電も聞く耳を持たなかった。そのツケが来た」と声を荒らげるのは京都大原子炉実験所の小出裕章助教(原子核工学)。「とにかく水を入れること。それができなければ、チェルノブイリと同じことが起きる」と警告。
小林英男横浜国立大客員教授(安全工学)も危機感をあらわに「政府も東電も『心配ない』なんて言っている場合じゃない。何の手だてもできていない」と憤慨した。
燃料棒が溶け落ち、その重みと熱で圧力容器の底が割れると、1979年に米国で発生したスリーマイルアイランド原発事故の再来となる。吉岡斉九州大大学院教授(科学技術史)は「スリーマイルのときは緊急炉心冷却装置(ECCS)が動いていたが、今回は弱いポンプで海水を入れているだけで、より深刻。なぜ津波が来る前にECCSを作動させて水を中に入れなかったのか」。
安斎育郎立命館大名誉教授(放射線防護学)は「一番の心配は大量の放射線が出て、首都圏まで含めた大惨事になりかねないことだ。これまでの政府の対応は、被害状況を過小評価しているのではないか」と疑問を投げかけた。
危機管理の専門家たちは異口同音にずさんな管理態勢を指摘。宮林正恭千葉科学大副学長は「そもそも炉心に冷却水を入れるポンプ担当の職員が、どうしてパトロールを兼務しなければならない状況だったのか」。亀井克之関西大社会安全学部教授も「現場レベルでも詰めが甘かったと言わざるを得ない。この事態を招いた東電を国民が信用できなくなるのは当然」と語った。
核や原子力を題材に作品を撮り続けている映像作家鎌仲ひとみさんは「本当の情報を出せば、パニックに陥ると考えているのは国民を信じていない証拠」と情報開示を強く要求。作家の高村薫さんは「日本の電力会社には原発を運転する資格がない。今回の震災を受けて、考え直さなければならないことはたくさんあるが、その第一が原発だ。ひどい」と言い切った。
安否不明は数万人規模 死亡・不明3200人
ロイターニュース
安否不明は数万人規模 死亡・不明3200人
東日本大震災の津波で水没するなど壊滅的な被害を受けた市町村で、連絡が取れず安否不明の住民が数万人に上っていることが13日、岩手、宮城両県などへの取材で分かった。被害は深刻さを増し、各県や県警本部が全容の把握を急いでいる。警察が確認した死者・行方不明者は3200人を超え、宮城県警の竹内直人本部長は県内だけでも死者が「万人単位に及ぶことは間違いない」と述べた。
気象庁はマグニチュード(M)をこれまでの8・8から世界最大級の9・0に修正。警察庁などによると、避難者は45万人を超えた。福島第1原発は1号機に続き3号機でも燃料の一部が溶ける「炉心溶融」が起きているとみられ、東京電力は国に「緊急事態」の報告をした。東電は14日から管内9都県で計画停電を実施する。
宮城県内では南三陸町と東松島市でそれぞれ約1万人と連絡が取れていない。岩手県内は陸前高田市で約5千戸が水没し、約7200戸ある山田町もほぼ全域水没。大槌町は中心部が水没、町役場が流された。福島県では1192人の安否が不明となっている。
警察庁の14日午前0時現在のまとめでは、死者は1597人、行方不明者は1481人。ほかに仙台市内で200〜300人の遺体が発見されている。
一方、津波で家ごと流された福島県南相馬市の男性(60)が13日午前、福島県沖約15キロの洋上で、自衛隊の船に救助された。
宮城県と陸上自衛隊によると、宮城県内では病院や小学校などで一時1万人以上が孤立した。
被災地は余震が続いた。気象庁は東北の太平洋沿岸に出していた津波注意報を全面解除したが、3日以内にM7以上、最大震度6の余震が発生する確率は70%と発表した。
警察庁などによると、震災の建物崩壊や津波などによる避難は、宮城、岩手など6県で45万人以上。政府は、激甚災害指定を行う政令を12日に閣議決定したと発表。自衛隊の災害派遣を10万人態勢とする。
観光庁によると、被災地を国内ツアーで約4100人が訪れており、うち2500人は旅行会社側で安否確認ができていないという。


